【法人契約の生命保険】 ~ 会社を立ち上げたら検討すべきことを順番に並べます 

社長のライフプラン

法人化の大きなメリットの一つが、生命保険契約の当事者となれる事です。

小規模企業共済

契約を検討すべき順番に並べていきます。

まずは、これに入るべきです。(いきなり法人契約ではなく個人契約ですが)

小規模企業共済

小規模企業共済の掛金は全額所得控除になりますので、これより有利な金融商品はおそらくありません。

まだ入っていなければ、速やかに入りましょう。
社長は毎年毎年所得税をたくさん払っていますよね。
社長の税率を超える利回りを見込める金融商品があるとしたら、相当高リスクなものになります。

ノーリスクハイリターンの、国から社長へのプレゼントです。

会社は借金をしてますか?

会社が借金しているなら、まずはそれを担保できる生命保険に入るべきです。

会社が借りたお金ですが、社長が個人保証している場合が多いと思います。
もし、社長が交通事故で・・・となったらどうなりますかね?

会社と社長は別人格なので、どうにもなりません。
とはならないですよね。

会社を引き継ぐ人がいくらでもいるような大きい会社なら、問題ないかもしれません。
会社にお金があるなら(何故借りたのか分かりませんが)やはり問題ないでしょう。
そうではなくて、かつ社長一人で回っていたような会社であれば。。。
会社がお金を返せなくなったとき、返済義務を負うのは保証人(=社長)です。

保証人が死んでいたらどうなるか。
民法には次のように書かれています。

(相続の一般的効力)
第八百九十六条 相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。

つまり、社長の家族に降りかかります。
社長がプラスの財産を遺していたとしても、家族はそれを諦めて相続放棄せざるを得なくなるかもしれません。

↓ 自分に何かあったとき、こういう美しい未来を望むのであれば ↓

借入金返済を担保する定期保険に入るために、どれくらいの保険料が必要か?

↓ 簡単です やってみましょう ↓
LIFENET

この保険会社は法人契約できませんが、保険料の目安が分かります。

会社の成長期に検討すべき契約

これは、主として社長の退職金原資を確保するための契約です。
(社長が引退するときに解約します。)

長い契約期間の生命保険契約では、契約の前半に払い込んだ保険料に占める解約返戻金の割合が大きくなります。
そして、支払う保険料の一定割合が、会社の経費になります。

上の結論を回りくどく書きますと、

生命保険料は「予定死亡率」「予定利率」「予定事業費率」から算出します。
そして、その算出した保険料を、保険期間中均等に支払うことが多いです。
当然ですが、20歳の人と60歳の人では「予定死亡率」は異なりますので、上の通り保険料を均等に支払う場合、保険期間の前半部分では前払保険料が生じます。
つまり、払込期間の前半部分では、解約時の返戻率が高くなります。

解約時の返戻率に応じて、支払った保険料の一定割合が会社の経費になります。
一定割合とは、下のとおりです。

最高解約返戻率50%超70%以下 最初の4割の期間 6割損金 4割資産計上
最高解約返戻率70%超85%以下 最初の4割の期間 4割損金 6割資産計上
以下複雑かつ実用性がないので省略します。(詳しくは法人税基本通達を参照して下さい。)

税金の取り扱いは、こんな感じになっています。

企業会計は、会社が半永久的に継続すると仮定しています。
故に、会社の事業年度を一定期間で人為的に区切り、その期間ごとに利益を計算します。
これが決算です。
そして、税金は会社の確定した決算を基に計算されます。

会社は、儲かる時期もあれば、それほどでもない時期もあったりしますので、社長がいずれ退職した時に会社から退職金をもらいたいのであれば、それまでの間の利益からそれに引き当てるための資金を用意しなければなりません。
ここで、その方法の一つとして生命保険契約を検討する価値が生まれます。

でも、儲かっている間は良いけれど、数年先に保険料が支払えないほど業績が悪くなったらどうしよう、という心配もありますよね。

この場合には、払済に変更するという選択ができます。
払済とは、解約せずに保険料の払い込みを中止することです。
その時点での解約返戻金をもとに、今までの契約と同じ保険期間の契約に変更しますので、当然保険金は少なくなります。

ここも結論から書きますが、払済に変更しても、税金上は何の変化もありません。

また上の結論を回りくどく書きます。

払済とした場合、税金上は原則として下の通り
解約返戻金相当額 - 資産計上額 = 雑収入
という扱いになります。(法人税基本通達

(払済保険へ変更した場合)
9-3-7の2 法人が既に加入している生命保険をいわゆる払済保険に変更した場合には、原則として、その変更時における解約返戻金相当額とその保険契約により資産に計上している保険料の額(以下9-3-7の2において「資産計上額」という。)との差額を、その変更した日の属する事業年度の益金の額又は損金の額に算入する。ただし、既に加入している生命保険の保険料の全額(特約に係る保険料の額を除く。)が役員又は使用人に対する給与となる場合は、この限りでない。(平14年課法2-1「二十一」により追加、令元年課法2-13により改正)

(注)

1 養老保険、終身保険、定期保険、第三分野保険及び年金保険(特約が付加されていないものに限る。)から同種類の払済保険に変更した場合に、本文の取扱いを適用せずに、既往の資産計上額を保険事故の発生又は解約失効等により契約が終了するまで計上しているときは、これを認める。

2 本文の解約返戻金相当額については、その払済保険へ変更した時点において当該変更後の保険と同一内容の保険に加入して保険期間の全部の保険料を一時払いしたものとして、9-3-4から9-3-6までの例(ただし、9-3-5の2の表の資産計上期間の欄の(注)を除く。)により処理するものとする。

3 払済保険が復旧された場合には、払済保険に変更した時点で益金の額又は損金の額に算入した金額を復旧した日の属する事業年度の損金の額又は益金の額に、また、払済保険に変更した後に損金の額に算入した金額は復旧した日の属する事業年度の益金の額に算入する。

ただし、上の通り同種類の払済保険とした場合には、会社に何もしないという選択を認めていますので、普通は何もしなくて大丈夫という結論になります。

また、払済とした後しばらくの間は、解約返戻金は緩やかに増加する例が多いと思います。

長期間放置(?)しておくと、払い込んだ保険料を超える場合もあり得ます。

経営者とその家族のための契約

その他いろいろ、、、ありますが、例えばこういうのはどうでしょう?

会社で毎年30万円の保険料を10年間支払ったら、一生涯の医療保障が得られるという話です。

病気で入院した時、サラリーマンは大抵有休消化ができます。
経営者も大抵役員報酬を貰えます。
でも、経営者が会社の稼ぎ頭だったら、報酬の原資が怪しくなりますよね。。。

そこで法人契約で医療保険に加入しておくと、いざという時の備えになります。

このような通達があります。
読むのが面倒だったら、最後の(注)2だけ読んで下さい。(法人税基本通達
(要するに、30万円以下は全額経費にできると書いてあります。)

(定期保険及び第三分野保険に係る保険料)
9-3-5 法人が、自己を契約者とし、役員又は使用人(これらの者の親族を含む。)を被保険者とする定期保険(一定期間内における被保険者の死亡を保険事故とする生命保険をいい、特約が付されているものを含む。以下9-3-7の2までにおいて同じ。)又は第三分野保険(保険業法第3条第4項第2号《免許》に掲げる保険(これに類するものを含む。)をいい、特約が付されているものを含む。以下9-3-7の2までにおいて同じ。)に加入してその保険料を支払った場合には、その支払った保険料の額(特約に係る保険料の額を除く。以下9-3-5の2までにおいて同じ。)については、9-3-5の2《定期保険等の保険料に相当多額の前払部分の保険料が含まれる場合の取扱い》の適用を受けるものを除き、次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次により取り扱うものとする。(昭55年直法2-15「十三」により追加、昭59年直法2-3「五」、令元年課法2-13により改正)

(1) 保険金又は給付金の受取人が当該法人である場合 その支払った保険料の額は、原則として、期間の経過に応じて損金の額に算入する。

(2) 保険金又は給付金の受取人が被保険者又はその遺族である場合 その支払った保険料の額は、原則として、期間の経過に応じて損金の額に算入する。ただし、役員又は部課長その他特定の使用人(これらの者の親族を含む。)のみを被保険者としている場合には、当該保険料の額は、当該役員又は使用人に対する給与とする。

(注)

1 保険期間が終身である第三分野保険については、保険期間の開始の日から被保険者の年齢が116歳に達する日までを計算上の保険期間とする。

2 (1)及び(2)前段の取扱いについては、法人が、保険期間を通じて解約返戻金相当額のない定期保険又は第三分野保険(ごく少額の払戻金のある契約を含み、保険料の払込期間が保険期間より短いものに限る。以下9-3-5において「解約返戻金相当額のない短期払の定期保険又は第三分野保険」という。)に加入した場合において、当該事業年度に支払った保険料の額(一の被保険者につき2以上の解約返戻金相当額のない短期払の定期保険又は第三分野保険に加入している場合にはそれぞれについて支払った保険料の額の合計額)が30万円以下であるものについて、その支払った日の属する事業年度の損金の額に算入しているときには、これを認める。

保険会社によって多少異なりますが、例えば45歳男性、終身、入院日額7~8千円、入院一時給付金20万円位、払込期間10年、というような契約で、大体年間の保険料は30万円弱になるようです。

社長が会社を去る時(あるいは会社自体がなくなる時)には、名義変更できます。
(それ以前でも、名義を変えるべき事情があれば、変更可能です。)

中小企業の社長は、老後の備えを自分で考えて自分で用意する必要があります。

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