そのアイスクリームにホイップクリームをつけてくれる? ― 最初の引き金が引かれた瞬間

小さな会社のバックオフィス

モノを買うという意思決定は、95%を占める無意識により行なわれているそうです。
無意識による意思決定の引き金がどのように引かれるのかが記された書があります。

30の引き金

『シュガーマンのマーケティング30の法則』という本があります。
この本には、顧客の購買の決め手となる30の「心理的トリガー」が書かれています。

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人がモノを買う理由の95%を占める「無意識の決断」がセールスのどの段階でどのように起こるのか。。。
シュガーマンが自身の経験に基づき面白おかしく綴っていますので、気合を入れずにリラックスして読める良書です。

原題は
Triggers: 30 Sales Tools You Can Use to Control the Mind of Your Prospect to Motivate, Influence, and Persuade. 

これが30個のトリガーです。


↓こんな内容です↓ 

この本の中で私が最も好きな部分が、「第1のトリガー」に記されている、嘘みたいなシュガーマンの経験談です。

読んでいると(行ったこともない)ニューヨークのパーラーやレストランの景色が頭の中に浮かんできます。

第1の引き金

人間は、自分の行動に一貫性を持たせたいという心理が働きます。
これをマーケティングに応用すると「購入を決めたお客様へ、ついで買いを促す」となります。

以下、私の最もお気に入りの部分です。
シュガーマンの文章が纏う独特の空気を味わえます。

引用が長くなりますが、ご容赦下さい。

1950年代の終わり頃、私は印刷機を売っていた。
ある日、夕食のあと、アイスクリームを食べようと小さなアイスクリームパーラーに入った。
カウンターに座ると、店員が注文を取りに来た。
私は好物のデザートを頼んだ。
「チョコレートアイスにホイップクリームを添えたものをください」
すると、店員はけげんな顔をして私を見た。
「それはチョコレートサンデーのことですか?」
「いや、チョコレートアイスにホイップクリームをつけてほしいんだけど」
「それですと、シロップ抜きのチョコレートサンデーになりますが」
「ただチョコレートアイスにホイップクリームを付けるだけだよ?どこが違うの?」
「はい。サンデーは35セント、チョコレートアイスだけですと25セントです。お客様のご注文は、シロップ抜きのチョコレートサンデーになります」
店員はややしたり顔でそう答えた。
「いいよ。私が欲しいのはチョコレートアイスとホイップクリームだけど、それで10セント多く取るなら仕方ない」
私は観念した(50年代当時、1ドルの価値は今よりずっと高かった)。
ほどなくアイスクリームが運ばれてきて、私はおとなしく食べた。
やっぱりうまい。
チョコレートアイスは大学時代からの大好物だった。
私は大学在学中に1年間休学して、ニューヨークへ働きにやって来たのだ。
ニューヨーカーは自己主張が強いとはよく聞いていた。
だからこの一件にも、大した驚きはなかったのだと思う。
そして数日後、ウエストサイド南部にある小さなレストランで夕食をとった。
食後、ウェイトレスが「デザートはいかがですか?」と聞いてきた。
私は「チョコレートアイスにホイップクリームを添えたものを」と注文した。
そのウェイトレスは腰に手を置いて私を見た。
「チョコレートサンデーですね?」

- またやりますか …

「いや、サンデーじゃなくて、チョコレートアイスにホイップクリームを添えてほしいんだけど」
するとウェイトレスはすかさず返してきた。
「それはシロップ抜きのサンデーだと思いますが」
何度かの言い合いのあと、最後に10セント高いチョコレートアイスのホイップクリーム添えにするしかなかった。
これで2回目だ。
それから数週間、好物のデザートを注文するたびに、同じ繰り返しをしなければならなかった。

ある晩のこと。
仕事でくたくたになった帰りに、マンハッタンの中心部にあるレストランで夕食をとっていた。
食べ終わる頃ウェイトレスが来て、「デザートはいかがですか?」と聞いてきた。
本当は大好物のチョコレートアイスのホイップ添えを頼みたかったが、しかし、この日だけは、数週間ずっと経験してきたいつもの嫌な思いをしたくなかった。
そこで私は、「チョコレートアイスを」とだけ言った。
ホイップクリームは頼まなかった。
文句のつけようのない、単純なオーダーだ。
しかし、ウェイトレスがテーブルを離れようとしたほんの一瞬の間に、私はホイップクリームの添えられたチョコレートアイスがたまらなく食べたくなった。
ウェイトレスのために我慢することなどない。
「すみません」
私は立ち去ろうとするウェイトレスを呼び止めた。
「そのチョコレートアイスにホイップクリームを付けてくれる?」
「はい、かしこまりました」
とだけ言って、彼女はその場を去って行った。
レシートを見てみると、チョコレートアイスのホイップクリーム添えの値段は25セントぽっきり。
それまで35セント支払わされていたのに…。
そういえば、注文のときホイップクリームをあとで付け足したことを思い出した。
ウェイトレスがテーブルを離れようとしたそのときに言ったのだ。
― またうまくいくだろうか?
今後もこのやり方で注文すべきなのだろうか?
次にアイスクリームを注文したのはその翌日だった。
今回は、以前アイスクリームを頼んでウェイトレスに嫌な思いをさせられたレストランにした。
おいしい食事を食べ終え、デザートを注文する段になって私はウェイトレスに、
「チョコレートアイスクリーム」
とだけ告げた。
そして、彼女が注文を書きとめて立ち去ろうとしたとき、こう言い添えた。
「そこにホイップクリームを付けてくれない?」
ウェイトレスは振り返ってうなずき、そのまま立ち去った。
しばらくして、山盛りのホイップクリームが添えられたチョコレートアイスがテーブルに運ばれてきた。
レシートを見ると、そこにはやっぱり「25セント」と書かれていた。
例の注文テクが2回もうまくいったのだ。
それからというもの、私はあとからホイップクリームを頼む注文方法を何度も試した。
わざわざ、前に35セント払わされた店へも行った。
注文の仕方ひとつ変えただけなのに、どこでも25セントしか請求されないのだ。
真偽のほどを確かめるために、以前の注文方法に戻してもみた。
すると案の定、「欲しいのはサンデーじゃない」と説明しても、結局、以前と同じように10セント余計に支払わされた。

後に「ブルー・ブロッカー」というサングラスを2000万本売るシュガーマンが、第1のトリガー「一貫性の原理」を発見したときのお話しです。

偉大なる第一歩ということですよね。

経済人モデル

「経済人モデル」という用語は、一般的に経済学や社会科学の分野で使用されます。これは、経済的な意思決定を行う個人や集団の行動を理論的に説明するためのモデルです。以下に、経済人モデルのいくつかの一般的なタイプを示します。

  1. 利己的な経済人モデル(Selfish Economic Agent Model): このモデルでは、個々の経済人は自己利益を追求し、合理的に行動すると仮定されます。これは、古典的な経済学やミクロ経済学の基本的な枠組みであり、例えば利己的な消費者が自分の利益を最大化するために最適な製品やサービスを選択するなどが考えられます。
  2. 限定合理性モデル(Bounded Rationality Model): このモデルでは、経済人は情報の不完全性や認知の制限などの制約を持つと仮定されます。このモデルでは、経済人は最適な選択をするために利用可能な情報を最大限に利用しようとしますが、完全な合理性を持つわけではありません。
  3. 社会的選好モデル(Social Preference Model): このモデルでは、経済人の行動は単なる利己的な利益追求だけでなく、他者への配慮や社会的規範に基づいても決定されると仮定されます。例えば、共感や公正さなどの社会的価値が経済行動に影響を与えると考えられます。
  4. 進化的経済人モデル(Evolutionary Economic Agent Model): このモデルでは、経済人の行動や戦略は時間とともに変化し、進化していくと仮定されます。これにより、市場の競争や相互作用が経済人の行動パターンに影響を与えると考えられます。

これらは、経済学や社会科学の分野で研究されているいくつかの一般的な経済人モデルの例です。これらのモデルは、現実の経済活動を理解し、予測するための有用な枠組みを提供することがありますが、それぞれが簡略化された仮定に基づいていることを理解することが重要です。

↑ChatGPTに教えてもらいました(笑)

実際の人間の行動は、合理的とは程遠い事を我々は知っています。

そして我々を支配している無意識による意思決定をいかにして操るのかがシュガーマンの書には記されています。

それに抗うのが良い事なのか、それとも操られる方が幸せなのか、、、難しいですね。

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